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The Lie Lay Land
world's end girlfriend
The Lie Lay Land
2005.02.25
CD
CXCA-1160
¥2381 (without tax)
1. Phantasmagoria Moth Gate
2. We are the massacre
3. Satan Veludo Children
4. Garden in the Ceiling
5. the owl of windward
6. Scorpius Circus
7. song cemetery
8. Give me shadow, put on my crown.
9. Black Hole Bird
10. Unspoiled Monster
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『dream's end come true』というタイトルからして素晴らし杉!!(←笑)。センスなんて本来タイトルけで充分伝わる。そんな事は、音以前の事だから。音ごときで小細工なんて、もう流行らない。エディットで音楽が面白く感じられた時代は過ぎた。

前作から約2年強、world's end girlfriend(以下、weg )の新作が上がった。タイトルを、『The Lie Lay Land』。嘘八百世界(笑)と言うワケだ。要約すれば、ドリームワールド。これは、もちろんweg の一貫した音世界観でもある。そのとおり、1曲目から“Phantasmagoria Moth Gate”と、weg 得意のファンタジーワールドが繰り広げられる。前作までのエイフェックス・ツイン譲りなエディットは、もはや完全に作曲の中に取り込まれ、場面展開等に活用はされても、エディットそれ自体には何もウェイトを置いていない。そもそもweg にとってエディットとは、作曲工程の一部だったにすぎないわけだから。もちろん、ここで言うエディットとは、ドレミファという「楽音」とそれ以外の「雑音」を等価に扱い、そこから及んで例えば「暗い=悪い/明るい=良い」といった既成概念を一度フラットにするための通過儀礼だった、と今はもう言ってしまおう。ターンテーブルとコンピューターが楽器として認知された今となっては、それらニューマシーン(新機材)でいかに面白い音を得れるかといった狭い了見よりも、それら楽器特性を味方に、いよいよ当初からの目的だった、いかに思う所をより自由表現できるかという、もっと見晴らしのいいオープンな視野が要求されている。つまり今こそ問われるのは、個人個人、様々であるはずのヴィジョンというわけだ。要するに、思い込みよりも実際に作曲を! そして作曲の方向性にこそヴィジョンを!

weg にとってのファンタジーは、やたらと(笑)付いて回る「end」という単語一つの捉え方でも、すべて説明出来る。彼は「終わり」を点として捉え、その無数の点が連続していると言う。至ってクールだ。その連続が時間でもあるとも言う。だから彼の言う「end」には、否定や肯定といった妙な道徳観もない。彼にとって、そこはまさにweg 以前からエディット済みだったようだけれども、この クールさが根本にあってのファンタジーであること、ここがポイント。物語に感情移入し溺れるたぐいの閉鎖感よりも遥かに、音世界を完結させ、そのことで提示をする。つまり、weg には、作品として客体化させ得るだけの作曲力とヴィジョンの強さがあるということだ。もちろん、提示された音世界に不安感を感じるのも幸福感を覚えるのも、それは聴く人の取り方次第。

今回は、装飾音も、音数自体も減っている。weg は「わざわざドレミファソラシドを壊さなくても(音楽というものは)充分楽しめるはず」と以前のインタビューで回答していた。主眼は、あくまで音楽とそこからの音世界であってギミックじゃない。使い古されたものも、見る角度を変えたり、扱い方を少し変えるだけで充分楽しめる。weg もそれをよく理解する一人だ。そして既存物を生かしたうえでの必要最小限な変え方と、何よりそこでの作家としてのストイックさが、大作であってもクールに聴かせる理由なんだと思う。今回は、そうした彼の手法が最も洗練されているストレートな作品だ。(ターンテーブル、コンピューター通過吸収後の)新感覚のオーケストラ作品と言っていいかもしれない。


MMMatsumoto/MARQUEE 編集長

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