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Gllia
kazumasa hashimoto
Gllia
2006.03.10
CD
CXCA-1183
¥2381 (without tax)
1. Theme
2. Mr. Gleam
3. Monochrome prome
4. 001 [far]
5. Ne connissons
6. Ruinruin
7. Gllia
8. 002 [esbia]
9. Milmils
10. Drama
11. The happy days passed like a dream
12. Curtainfall
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村尾泰郎氏によるアルバム解説:

 レイ・ブラッドベリの短編小説で、宇宙に行きたくてしかたがなかった男の話がある。舞台は未来。宇宙船を買うだけのお金を持っていない主人公は、スクラップ置き場で宇宙船の残骸を見つけ、毎晩その座席に座っては、裂けた天井の彼方に広がる星空を眺めている、たしかそれだけの話だったような気がする。そんなうろ覚えのシーンが蘇ってきたのは、kazumasa hashimotoの新作『Gllia』の6曲目「Ruinruin」を聴いていた時だ。スクラッチノイズの向こうから聞こえてくる、パルス音のようなもの。それはあの主人公が、毎夜星の瞬きから受け取っていた、憧れと懐かしさのモールス信号なんじゃないかと、勝手に妄想してしまったわけだ。だから、続くタイトル曲から溢れ出すメロディーに、ますます胸を締めつけられた。

 エレクトロニカは未来のアコースティックだ。kazumasa hashimotoの音楽を聴いていると、つくづくそう思う。ゲーム音楽や携帯など、日々の生活にエレクトロニカの断片はすでに溶け込んでいる。音楽の場においても、電子音と生楽器の融合、なんてわざわざ声高に吹聴するまでもなく、それはごく当然の成り行きだ。だからこそkazumasa hashimotoが、その両者を継ぎ目なくミックスしてオーケストラを奏でる時、驚かされる以上に、とても心安らかな気持ちにさせられる。彼は子供の頃からクラシック・ピアノに親しみ、高校在学時に作曲を開始した時からコンピュータを使い始めたらしいが、そうしたごく自然な流れのなかで生まれたハーモニーだからこそ、そこにギミックはなく、ただただ作者の無垢な曲想が詰まっている。その曲の持つ透明さが、プリズムのようにリスナーの無意識を反射させて、聴き手の脳内にイメージのプラネタリウムを作り出すことができるのだ。

 思えばエレクトロニカのルーツ、アート・オブ・ノイズに『ドビュッシーの誘惑』というアルバムがあった。過度期だからこその企画性の強いアルバムだったが、その裏側には電子音楽からクラシックへの敬愛、美しい旋律への募る想いが込められていた。そんな彼らがkazumasa hashimotoの作品を聴けば、きっと新世代の才能の誕生を喜んでくれるに違いない。いま彼がジャンル分けされやすい、この〈エレクトロニカ〉という言葉に懐かしい響きを感じる時代が来たとしても、彼は作曲家として評価されていくだろう。その時には、間違いな『Gllia』は彼の代表作として愛され、〈hashimotoの誘惑〉でリスナーを魅了しているはずだ。きっとブラッドベリが描いた星空のように、静かな煌めきを放ちながら。

村尾泰郎(Yasuo Murao)

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