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new release  
Der Meteor
nakaban
Der Meteor
2009-07-07
DVD (NTSC / ALL REGION)
CXBL-1003
¥2500 (within tax)
0. オープニング
1. 旅の始まり
2. 古い家
3. 星の果物
4. もうひとつの道
5. 暗闇
6. 死のほうき星
7. トランク
8. 旅のおわり

trailer   

 2007年4月、レーベル初の映像作家としてアニメーションDVD『三つの箱』をリリースしたnakaban(ナカバン)が、また新たなアニメーション作品をnobleより発表します。約2年振りとなる新作のタイトルは、ドイツ語でほうき星を意味する『Der Meteor』(デア・メテオール)。

 絵画の発表を中心に絵本作家、挿絵画家としても活躍するアーティスト、nakaban。画家としての活動の延長上で数年前より映像を作り始めた彼が、約4年間に及ぶ編集作業を経て完成させたものが、前述の『三つの箱』です。この『三つの箱』と同時期に創作を開始し、2004年に自主制作で発表したアニメーション作品(2007年にはベルリンにてworldtronicsと言うメディア芸術祭にも出品されている)が存在し、この作品をストーリーの原形だけを残し、新たに2年の歳月をかけ完全リメイクしたものが、今作『Der Meteor』になります。

 オリジナル版に引き続き、『Der Meteor』の音楽は、自身の作品リリース(そのいくつかでnakabanがジャケットの装画を手掛けている)や、SAKEROCK、EGO-WRAPPIN'等への客演でも知られるミュージシャン、トウヤマタケオが担当。クラシックや現代音楽を基調に、ピアノ、マリンバ、オルガン、チェロなどのアコースティック楽器でアンサンブルを奏で、時に素朴で暖かく、時にザワザワと、時にミニマルな美しさをまとい、nakabanが描く物語の世界観をより強固なものへと昇華させています。

 舞台は架空の中世と近代が混じり合った、緑濃く、自然豊か、そして天体の運行がここ地球より少しだけ活発な世界。ほうき星を追って終わりの無い旅を続ける青い服の男の子のお話。リメイクに伴い新たに数百枚描き下ろした背景画の魅力的な色彩に、薄い膜を被ったようなユニークな質感。静寂な光の美しさと、終末を暗示するような不穏な陰の恐ろしさ。星降る世界の中を、現実と夢幻を行き来するように彷徨うシュールで美しい情景の数々には、nakabanの極めて繊細な美意識が反映されています。ほうき星が生み出す光と影が導く、摩訶不思議な旅へようこそ。

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nakabanによる制作メモ:

 満点の星空の下、もし私やあなたがほうき星を目撃したら、美しい、と思うだろう。状況によっては何かの予兆的な意味合いを見出すかもしれない。美しさの裏にどこか不穏なものを視るかもしれない。そして光のちりを残して地平線の彼方に消えたほうき星の行方に思いを馳せるだろう。私などはこう思う…ほうき星を追うことが出来たら。もし自分がそうだったら、どのような旅になるだろう。“この旅を想像してなにかで表現してみたい”そんなささやかなアイデアが浮かび、アニメーションをつくる事を思い立った。そうして数年前に完成させたオリジナル版*は今作のおよそ半分の長さ。それでも作業の時間は長かった。作業をしながら、ほうき星を巡る個人的な体験が思い出された。古くは小学生の頃、ハレー彗星*を観た時の事。望遠鏡の中のハレー彗星はぼんやりしていて派手な動きが無いのでがっかり。しかしそれでも飽かずに空を観ているとハレー彗星とは別の銀色の流星が頭上を横切った。そのたった一秒にも満たない間に瞬いた光が今も忘れられない。いや、一瞬の出来事だからこそ記憶に残るのだ。30分の1秒単位の作業が続くアニメーションを作っているとその事を実感できる。もうひとつ、画学生だった頃の事。調べものをしていてふと開いた本の中にフランスのバイユーのタペストリーの図版があり、そこにはほうき星が縫いこまれていた。そしてそれを指差す人々の手。ISTI MIRANT STELLA(彼らは星に驚愕する)とラテン語で刺繍も。画の中の人々が本当に畏れおののき、ほうき星が報せる不安な予兆にどよめいているのが見て取れる。全体的にほのぼのとしたタッチではあるが、なんと不気味な画であろうか。その当時(若き多感な?)画学生だった私は、自分の描くべき画についてもただきれいなものを描くだけではダメなんだ、不穏で恐ろしい陰の世界も描かなければ心を打つ事は出来ないのだ、と強く思ったのを覚えている。…今にして思えばそれはそれで安易な転換であったが。そうしてほうき星は私のお気に入りの、画のモチーフのひとつになっていった。

 アニメーションの話に戻ろう。この作品は前作『三つの箱』と同時に作り始めた。最初のバージョンは登場人物が人ではなく切り紙のロボット風のものだった。最終版に繋がるストーリーの原型はほぼ出来ていた。発表はしたものの、どこか結果に満足がいかなかった。時が経ち、トウヤマタケオの作曲したテーマ曲がドイツの音楽レーベルkaraoke kalkの企画版に収録され、このアニメーション自体もJorg Follert氏のキュレーションによりベルリンで開かれた音楽祭に招かれたりしたが(このアニメーションはタイトルがドイツ語の為か不思議とドイツと関わりが深い)やはりそれで満足する訳でもなく、どうするべきかと暫くの間悩んでいた。解決法はキャラクターのデザインをより親しみの持てる“人”に設定し、その上で全体をもう一度内容を吟味し直すことだが、そうするとほぼすべてを作り直し、ということになる。膨大な作業量の見積もりに目が眩み、作業の着手に躊躇する気持ちがあり、悩む日々であったが、nobleの久保氏やトウヤマ氏のサウンドトラックの発展型のデモテープに背を押される気持ちで完全リメイクに踏み切る気持ちになった。決めた以上、そのような状況時に余計に大変な作業を課すのがアーティストの宿命である。データの解像度を数倍に上げたり、背景やキャラクターは油彩で数百枚の素材を作成したり、新たに人形劇の章を作ったり、と膨らんでいく。時間もじっくりとかけて作り込んでいった。銀河が膨張する様に、星の果実が熟れていく様に“ほうき星の物語”が出来上がっていった。

2009年5月9日 nakaban



*2004年に上映、販売したオリジナル版が存在する。現在絶版。
*流星と彗星は天文学上全く異なるものですが本作では=ほうき星として扱っています。 


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